ヒアルロン酸注入は非常に即効性のある治療方法で、効果はすぐに現れます。施術を受けられた患者さんご自身も、治療後すぐに効果を実感できます。
治療部位やシワの状態などを考慮し、どの程度ヒアルロン酸を注入するかが決まります。
シワとしてくぼんだ状態の皮膚が、周囲と同程度にまで隆起した状態を100%と表現した場合、ヒアルロン酸注入では100%以上の過修正は推奨されません。200%まで修正する場合がある「コラーゲン注入」とは、この点で大きく異なります。
コラーゲン注入製剤では前述のように製剤中のコラーゲン濃度は3.5%〜6.5%で、残りは生理食塩水です(製剤によってはリドカイン(麻酔薬)も添加されます)。ヒアルロン酸注入製剤ではその濃度が0.55〜2%しかありません。つまりヒアルロン酸注入では、コラーゲン注入以上にインプラントとして作用する主成分が少ないのです。
なぜ100%以上の過修正がいけないのか?
それは「ヒアルロン酸とコラーゲンの分子量の差違」と「ヒアルロン酸の保水力」です。
そもそもヒアルロン酸とコラーゲンでは3倍以上の分子量の差(ヒアルロン酸の分子量100万以上、コラーゲンの分子量約30万)があります。
その上、ヒアルロン酸製剤ではクロスリンク(架橋)処理を行っているので、純粋なヒアルロン酸分子に比べ何倍も1分子あたりの大きさが増大しています。
更にヒアルロン酸には「1gで6000mlもの水分を保持する保水力」があるため、ヒアルロン酸自体が徐々に分解吸収されても周囲の水分が残り、全体のボリュームが持続されやすいという特徴があります。
このような点より、ヒアルロン酸では過修正をせず、100%の改善度までの修正が推奨されているのです。また、過修正しない分、施術後2週間経過した時点で一度チェックし、シワの改善度が不足している部分には再注入を行う必要があります。
持続期間
ヒアルロン酸注入の持続期間は「6〜12ヶ月」です(コラーゲン注入と比べた場合、ヒアルロン酸注入の方が持続時間が長いといわれています)。
ただし、この点に関しては、非常に大きな個人差がでます。治療を受けたシワの原因が「表情」によるものか、「老化」によるものかでも違いが出ますし、個人個人でコラーゲンを分解する酵素の働きにも差があるからです。
更に大きな要因は「患者さんの求めるゴールの高さの違い(完璧度)」です。完璧度を高く求める方は、そうでない方に比べて、効果の持続時間を短く感じる傾向があります。
治療効果の持続期間「6〜12ヶ月」を短いとお考えになるかもしれません。しかし、永久に体内に残存し続ける素材は安全性という意味でいかがなものでしょうか?
ヒアルロン酸という注入製剤は良い意味でも、また悪い意味でも体内で自然と分解されてしまうのです。私自身は、そのような点においても「ヒアルロン酸注入製剤」の安全性は高いと考えています。
ヒアルロン酸注入は適切なタイミングでの「微調整注入(数週間後)」や「再注入(半年から1年に1回)」によって、その効果の持続期間を延長できることが明らかとなっているので、ぜひ定期的に治療を受けることをお勧めします。