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皮膚の構造

皮膚の構造

皮膚は大きく3つのパートに分けることができます。外界と直接接している「表皮(ひょうひ)」、その内側に位置し表皮と非常に強い力で接着している「真皮(しんぴ)」、更にその内側にあり、真皮と筋肉の間に位置している「皮下脂肪組織(ひかしぼうそしき)」です。真皮と皮下脂肪組織の接着は緩やかです。

表皮は非常に薄い構造物です。平均的な厚みは約0.2mmで、最も厚い手のひら、足の裏でも0.6mmしかありません。しかしその薄い中でも、約15層の細胞層から成っています。そのうちの95%は角化細胞(かくかさいぼう:ケラチノサイトとも呼ばれる)です。角化細胞は表皮の最下層で分裂し、成熟しながら徐々に上方(外方)に向かい、約28日間で垢となって脱落します。

表皮には角化細胞の他に、ランゲルハンス(Langerhans)細胞、α樹状細胞(あるふぁじゅじょうさいぼう)、メルケル(Merkel)細胞などが少数含まれています。

真皮は皮膚の中で最も様々な構造物が含まれている部位です。真皮のうち、上方の極わずかな部分を乳頭層(にゅうとうそう)、その下に位置する真皮の大部分を網状層(もうじょうそう)といいます。

真皮内に含まれる構造物は大きく4つに分けられます(間質成分、細胞成分、脈管・神経成分、皮膚付属器成分)。

皮下脂肪組織は皮膚の最も深い部分であり、真皮と筋肉の間に挟まれています。主な役割は「中性脂肪の貯蔵庫」です。その他、外的圧力に対するクッションの役割をしたり、体温の保持を行うといった役割も果たしています。


真皮内構造物の詳細

コラーゲン注入、ヒアルロン酸注入を理解するためには、皮膚の中の真皮についてよく知る必要があります。そこでここからは真皮についてもう少し詳しく見ていくことにしましょう!

間質成分のうち最も多く含まれているのが、このサイトでメインテーマとなっている「コラーゲン線維(膠原線維:こうげんせんい)」です。このコラーゲン線維は真皮の乾燥重量のうち約70%を占めています。その他の線維として、弾性線維(だんせいせんい)、細網線維(さいもうせんい)があります。

間質成分にはこれら線維系成分のほか、「基質(きしつ)」も含まれます。基質にも様々な種類がありますが、その中の1つに「ヒアルロン酸」があります。コラーゲン線維、弾性線維、ヒアルロン酸に関する理解は重要なので、これらについては後程より詳細に解説致します。

細胞成分の中で重要なのが「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」です。なぜなら線維芽細胞がコラーゲン線維、弾性繊維、そしてヒアルロン酸などのムコ多糖を産生し、真皮へ供給しているからです。

その他として組織球(そしききゅう)、肥満細胞(ひまんさいぼう)、形質細胞(けいしつさいぼう)、真皮樹状細胞などの細胞が真皮内には存在しています。

脈管成分としては血管とリンパ管です。神経系は知覚神経と自律神経が存在します。


真皮内の血管の走行を理解しよう!

このサイトを理解する上で欠かせないのが、血管の分布様式です。先程説明した「真皮乳頭層」と「真皮網状層」に理解には、この血管の解剖学的位置関係の理解が不可欠だからです。重要なのは「血管叢(けっかんそう)」の存在です。血管叢とは血管が水平方向に網目状に拡がる構造を指します。それを念頭に置いて、以下をお読み下さい。

皮膚に入る血管は、他の臓器同様、「動脈(どうみゃく)→毛細血管(もうさいけっかん)→静脈(じょうみゃく)」という一連の流れとして変化していきます。

まず皮下組織(皮下脂肪組織が存在する部分)から動脈が真皮に入り、真皮の最も深い部分で「皮下血管叢(ひかけっかんそう)」を形成します。そして、皮下血管叢から多くの動脈が上方に向かい真皮乳頭層の直下で2つ目の血管叢である「乳頭下血管叢(にゅうとうかけっかんそう)」を形成します。次の段階として、血管は更に細く毛細血管となり、真皮乳頭層をループ状に一周し、乳頭下血管叢に静脈として移行します。また同様に静脈は皮下血管叢へ続き、静脈の網目状構造を呈した後に皮下組織へ流れていきます。

真皮乳頭層と真皮網状層の区別は、乳頭下血管叢を境界として分けられます。つまり、乳頭下血管叢より上部が真皮乳頭層、下部が真皮網状層となります。

この区別が重要な理由は、コラーゲンやヒアルロン酸の注入部位(注入深度)に関係してくるからです。現在の一般的な注入剤は、真皮網状層の浅い部分から深い部分にまでその注入剤の種類によって入れ分けています。

また、近年では自分の皮膚から線維芽細胞(コラーゲンやヒアルロン酸を作り出している細胞)を取り出し、それを注入剤として製品化し利用することも可能となりました(登録商標 Isolagen:Isolagen Laboratories社)。この製品ではこれまでと異なり、真皮乳頭層という極めて浅い部分に注入する方法がとられています。

皮膚付属器成分としては「毛器官(もうきかん)」、「立毛筋(りつもうきん)」、「皮脂腺(ひしせん)」、「エクリン汗腺(えくりんかんせん)」、「アポクリン汗腺(あぽくりんかんせん)」が存在します。しかしこれらは「しわ」が作られる機序とも無関係ですし、治療(コラーゲン注入、ヒアルロン酸注入)とも関連がないので、ここでは深く論じないこととします。

>> 次の記事:コラーゲンの性質 を読む

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