ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)はグルコサミノグリカン(ムコ多糖類)の一種で、現在の正式名称は多糖体の国際命名法によりヒアルロナン(Hyaluronan)となっています(当サイトではユーザーが理解し易いようヒアルロン酸という呼称を採用しています)。
ヒアルロン酸は生体内に広く分布しているだけでなく、生物種や組織を問わず同一の構造をしています。特に皮膚、関節、眼球には多く含まれています。Nアセチルグルコサミンとグルクロン酸の二糖単位が連続した構造となっていて、分子量100万以上の巨大な分子です。
しかし構造が単純で抗原性に乏しいため、注入剤として使用しても免疫反応を起こすことがありません。「牛コラーゲン注入製剤」では3〜5%にアレルギー反応を起こすため、術前のアレルギーテストに関して神経質にならなくてはいけないことを考えると、「ヒアルロン酸注入製剤」のアレルギーフリーという恩恵は計り知れない面があります。
皮膚の真皮内におけるヒアルロン酸は線維芽細胞から産生されます。ヒアルロン酸の特徴は優れた水分保持作用(ヒアルロン酸1gあたり6,000mlの水を保持)です。
真皮内における生物学的機能は「細胞外組織の安定化」と「コラーゲン線維と弾性繊維が混在している基質液(ゲル状無定型物質)の形成」です。つまりヒアルロン酸は細胞外領域で水分、栄養、代謝物、老廃物を含んだ溶液の移動や、細胞の機能や移動に関しても調節している非常に重要な成分なのです。